アムリットD.C
今回は、ペット用品の通販サイト「アムリット動物長生き研究所」を運営する株式会社アムリット.DC(アムリットディーシー)さんを中井が取材しました。
アムリット動物長生き研究所 本店サイトより(2014.03時点)
株式会社アムリット.DCは、2009年12月に岡山市で設立して現在5期目を迎えています。
動物病院専用ペットフードやペット用のサプリメント、介護用品などを取り扱う通販サイト「アムリット動物長生き研究所」を、2010年に楽天市場にオープンしたのを皮切りに、現在は同名のサイトを、楽天、ヤフー、ビッターズ、アマゾン、そして自社(本店)サイトで運営しています。
設立初年度こそ試行錯誤を繰り返して伸び悩んだものの、2期目以降は順調に業績を伸ばし、3期目に年商5億5千万円、そして4期目には10億円を突破し、年商11億8千万円となっています。
このように業績を上昇させている要因について、ポイントを絞って探ります。
-ペットの高齢化に本気で取り組む-
アムリット.DC(以下「アムリット」)は、“ペットの高齢化に本気で取り組む”ことをミッションとして掲げ、動物病院専用ペットフード(病気の犬猫向けのフード、食事療法食)やプレミアムフード(高品質フード、自然素材フードなど)、ペット用サプリメント、介護用品など、ペットの長生きに役立つ商品を専門に取り扱い、特にシニア期を迎えた犬猫の飼い主さんから信頼を集めています。
ペット用品の通販サイトは多数ありますが、「アムリット動物長生き研究所」のようにシニア期の犬猫に特化する形で運営しているサイトは他に例がありません。
アムリットがそのような特徴的な方向性を持つようになったのは、同社の黒田社長の体験がきっかけとなっています。
黒田社長が、生まれて初めて一緒に暮らした犬“ハマちゃん”、黒田社長が中学生の頃から18年間家族として暮らした“ハマちゃん”の1年半に及ぶ完全介護生活が、「ペットの高齢化に本気で取り組む」姿勢の原点となっています。
黒田社長は次のように語ります。
「ペットにずっと元気に長生きしてほしい!寝たきりにさせたくない!」
これはペットを飼っているみんなが願っていることだと思います。
高齢ペットのお世話は、人と同じようにとても大変です。
例えば、若い頃から食べていたものでも体に合わなくなってお腹を壊しがちになったり、吐いたりすることがあります。腰や関節が悪くなってちょっとした段差を上れなくなったり、散歩に行きたがらなくなったりすることもあります。寝たきりになってしまえば、トイレをいつもの場所ですることができなくなってきます。
動けない大型犬は病院に連れて行くだけでも本当に大変です。入院をすると、保険が適用されないペットたちには膨大な医療費がかかります。そのため、泣く泣く治療を途中で断念せざるを得ない…ということもあります。
まだ若いペットたちには、ずっと元気で高齢を迎えられるように、年齢を重ねてきたペットたちには、弱ってきた体を補い、寝たきりにさせないために、そしてすでに介護が必要になった飼い主さんとペットたちには、お世話の苦労やペットたちの苦しみを軽くしてあげるために、私たちがペットに使ってあげたいもの、自分が介護をしていたあの頃に使いたかったもの…、走り回って探した、高齢の犬猫をサポートするサプリメントや、動物病院でも使われているアイテムをたくさんご紹介しています。
そんな黒田社長の想いで誕生したアムリットには、ペットを飼っているスタッフや介護体験をしたスタッフが多く在籍しています。
スタッフさん達も、病気や老化でつらい思いをしている犬猫やその子たちを見守る飼い主さんの優しい心に寄り添う気持ちを大切にしています。
-お客様との対話(ネットショップのアナログな取り組み)-
アムリットの“飼い主さんの心に寄り添う”姿勢は、こんな取り組みにも表れています。
それは、お客様への“お手紙”です。
アムリットでは、お客様に商品をお届けするときに、必ず手書きのお手紙を添えています。お客様おひとりおひとりと対話したい、そんな姿勢が表れています。
また、こちらからのメッセージ(お手紙)だけでなく、お客様からもメッセージがもらえれば嬉しいということで、お手紙と一緒に返信用のFAX用紙も届けていますが、そのFAXでのお客様からの“お返事”が毎日山のように届いています。
そしてその“お返事”にもまた“お返事”を出します。このようにして、直接会うことのない通販でありながら、お客様とのリアルなコミュニケーションを実現しています。
こうした取り組みは、お客様の数が限られている場合は、比較的実行しやすいかもしれませんが、現在アムリットは、月間1万5千件の商品出荷をしていますので、お手紙も毎月1万5千通(FAXへのお返事を含めるともっと多数)を書いていることになります。
これだけのお手紙を書くために、なんとアムリットにはお手紙専門のスタッフがいます。アムリットの“お客様との対話”にかける想いの強さが表れています。
-こだわりは細部まで-
「商品をお届けするときに少しでもワクワク感をもってもらえるように」、そんな想いが細部へのこだわりにつながっています。
そのひとつが商品をお届けするときののダンボールです。「もっと可愛くできないか?」そんな社内の声から写真のダンボールが誕生しました。
コストという観点で考えれば、商品を仕入れたときに使われているメーカーさんのダンボールを使い回すといった方法も考えられますが、アムリットはそれとはまったく反対で、ワクワク感にこだわっています。
また、アムリットは、動物病院専用ペットフード(病気の犬猫向けのフード、食事療法食)を中心に販売しているため、ペットの病気や体調不良に悩んでいるお客様も多くいらっしゃいます。
そんなお客様に、病気との向き合い方や病気になったときに気をつけたいことなどを分かりやすくお知らせする方法はないだろうか、という考えから生まれたのがオリジナルの“漫画”です。
アムリットでは、以前から商品をお届けするときに一緒に“Amrit now”というペットマガジンを届けていましたが、そこで“泣き虫ボッチ”という漫画の連載を昨年開始しました。主人公のボッチ(緑の帽子の子)が、お母さんの病気を治すことのできる“ドクター”を探す旅の途中で出会う様々な人たち(犬猫たち)を通して、ペットの病気と向き合っていく物語です。
連載開始後は、回を重ねるごとにボッチファンのお客様が増え、ボッチはアムリットのイメージキャラクターへと成長し、「ペットの高齢化に本気で取り組む姿勢」の発信に一役買っています。
-今後の取り組み-
アムリットでは、現在、高齢のペットや病気のペットのためのサプリメントやフードの開発に取り組んでいます。これまでの経験や集まったお客様の声を基に、本当に届けたい商品を揃えていくことで、ペットの元気な長生きをさらにサポートしていくことを目指しています。
また、昨年一般社団法人日本ペットロスケア協会を立ち上げ、ペットロス(ペットを失った飼い主がその喪失感から体調不良等を起こすこと)のケア活動をスタートさせました。今後は、この活動を活性化させて、より多くの方の心のケアに取り組むことも目指しています。
(14年03月掲載)
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