契約書作成のポイント・注意点

-契約書作成のポイント-

契約書の作成については、すべてを詳しく言いつくすのは難しいのですが、ここでは契約書を作成する上で大切な要素をご紹介します。

①前文

契約の目的や当事者の表示など契約の概略を書きます。これは絶対に書かなければならないというわけではありません。

②表題

書き方に絶対の決まりはありません。しかし契約内容がはっきりするように、単に「契約書」とするのではなく、「不動産売買契約書」「金銭消費貸借契約」など、なるべくわかりやすいものにします。また、「念書」「覚書」などとした場合も契約書であることに変わりはありません。

③当事者の表示

当事者は、個人であれば住所と氏名(個人事業主であれば屋号も)、会社・法人であれば本店所在地の住所と会社・法人名で表します。

④目的条項

契約の趣旨、目的、目的となるものの内容(例えば、土地であれば、所在・地番・地目・地積といった内容)を記載します。この条項が第一条になる事が多いです。
その後に契約の詳細な内容を条項ごとに箇条書きに書いていきます。

⑤作成年月日

契約が成立した日を証明するために大切な部分です。また、契約内容によっては、契約の有効期限を確定するために重要となることもあります。

⑥契約当事者の署名押印

③の当事者の表示と同じように、個人なら住所氏名、会社・法人なら本店所在地の住所と会社・法人名を記載します。印鑑は会社・法人の場合は通常は代表印で押印します。個人の場合は認印というケースもありますが、大事な契約なら実印を使用したほうがいいでしょう。

⑦目録

契約の対象物を記載します。④の目的条項の中に含めてもかまいませんが対象物の数が多い時などは別紙として目録を作り表示します。対象物の特定は、不動産であれば登記簿に記載された物件の表示を、動産であれば商品名や製造番号などを記載します。これは本文中に書いても問題ありません。

⑧収入印紙の貼付

印紙の有無と契約書の効力には関係ありません。印紙がなくても契約は有効ですが、印紙税法に違反します。また、契約書を複数作成する場合はそれぞれに印紙を貼ります。貼りつけた印紙には契約書に使用した印鑑で消印をします。

⑨後文

契約が成立した旨や何通作成したかなどを記載します。ここに挙げたのは一般的に広く普及している書式です。原則としては契約書の書式は自由ですから、どのように書いてもかまいません。

-契約書作成の際の注意点-

ここではトラブルを防止するために記載しておいたほうが良い条項の代表的なものを挙げます。

①契約の期間・履行の期限

契約締結の日から1年間、~年~月~日までにというように具体的に記載します。

②解約・解除

どのような場合に解約・解除となるのか、また契約不履行などがあった場合に、履行の催告(すぐに実行してくださいという要求)を行うこと無しに契約を解除出来るとするか、催告を行ったうえで解除する事が出来るとするかなどを定めておきます。

③期限の利益(の喪失)

期限の利益というのは、決められた日までは履行しなくていいという債務者の利益のことなのですが、大切なのは期限の利益の喪失の条項で、例えば商品を購入して代金を分割で払う場合に、「支払期日を一度でも守らなかった場合には期限の利益(分割して支払うことができるというメリット)を失い、即座に全額支払う」というような取り決めをします。

④損害賠償

損害賠償額についても、契約期間や履行期限と同様に具体的に定めます。

⑤担保責任

売買契約において、目的物に隠れた欠陥(瑕疵)があった場合は買主が売主に対して損害賠償を請求したり、その欠陥によって契約が目的を達成できない場合は契約を解除する事が出来ます。これは民法に規定がありますが、これを排除したりまたは期間を限定したりする事があります。

⑥保証・連帯保証

必要に応じて保証人や連帯保証人を設定します。

⑦諸費用の負担

その契約、取引を行うにあたってかかる費用をどちらが負担するかを決めておきます。

⑧裁判管轄

争いが起こり裁判になった場合の、管轄権を有する裁判所を決めておきます。契約の相手方が遠隔地の場合には定めておいたほうがよい条項です。取り決めがなければ相手方(訴えられる側)の住所地を管轄する裁判所になります。

⑨規定外事項

契約書の規定にない事が起こった場合は別途協議する旨を記載しておきます。

⑩公正証書の作成

必要に応じて公正証書にする旨を記載します。

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