株式会社設立のポイント

1、資本金は自由に決められます

以前は、会社を作るときの資本金は、有限会社300万円以上、株式会社は1000万円以上でなければならないという最低資本金規制がありました。

しかし、今はこの最低資本金規制は完全に撤廃され、資本金は1円以上いくらでも設立ができるということになっています。ですから例えば、事業をはじめるのに必要な資金が10万円であれば資本金10万円でもかまわないということになります。

法律の定めに従って一定の金額を用意しなければならないという制約がなくなり、会社設立がしやすくなると同時に、資金面での自由度が高くなっています。

2、会社名も自由に決められます

以前は、会社設立するときに、これにしようと決めている会社名(商号)があっても、自分が設立しようとしている会社の本店所在地と同じ市町村内に、同じ事業目的を持つ、よく似た名前(商号)の会社が既に存在していると、その商号では設立ができないというルールがありました(つまり、同じ事業目的を持つよく似た名前の会社が近隣に既に存在していると、事業目的か商号を変えなければなりませんでした。と言っても事業目的を変えることは難しいので、実際には会社名を変えるしかありませんでした。)が、これは現在の会社法では撤廃されています。

既に存在している他の会社と同じ住所に同じ名前の会社は作ることはできませんが、それ以外は既存の他の会社の事を気にせずに自由に商号や事業目的を決められます。

3、取締役1名での設立も可能

以前は、株式会社には、取締役が少なくとも3人いなければなりませんでした。

起業家にとっては、資本金の規制と共に、取締役3名というのが、株式会社を作る上でのひとつのネックだった訳ですが、現在の会社法では定款の定めによって、取締役会を設置しない会社を作る事も可能で、その場合は取締役1名でも株式会社を設立し運営できるようになります。

また、以前は、株式会社の取締役の任期は2年で、同じ人が再び取締役に就任する場合でも、その都度登記しなおさなければならなかったのですが、これも定款の定めにより取締役の任期を最大10年まで延ばすことが可能となっています。

株式会社設立のツボ

資本金や事業内容、役員など、会社を設立するときには決めなければならないことがいくつもあります。その決め方、考え方についてのポイントをご紹介します。(以下は中井事務所ニュースレターからの引用です)

1、資本金

会社を設立するときに考えなければならない事のひとつに、資本金額をいくらにするかということがあります。
一般的には、取引先や世間からの信用度などを考えて、資本金額を少しでも大きくしようとする事が多いのですが、逆に資本金額が小さい事で得られるメリットというものもあります。

実は、資本金1000万円未満で会社設立をすると、設立から2年間(1期目と2期目)は、消費税の納税義務が免除されます。(ただし例外あり)
消費税は、2年前の売上が1000万円を超えている場合(2年前の売上が基準となります)に納税義務が発生します。そうなると、設立から2年間は2年前の売上というのがないので、最初の2年間は消費税の納税義務が免除されるという事になりますが、資本金1000万円以上で設立した会社の場合は、特例で1年目から納税義務があります。従って、2年間免除されるのは、資本金1000万円未満の場合だけとなります。
2年分の消費税を納めるか納めないか、この違いはかなり大きいと思います。

2、会社名

会社名のことを会社法では商号といいます。商号をどういったものにするかということは、事業の内容や資本金の額などと並んで、会社を設立する上での非常に重要なポイントになります。
商号については、既に存在している他の会社と「同一住所で同一商号」という会社を設立することは出来ませんが、それ以外は、ほぼ自由に決めることが出来ます。

さて、ルール上の話はさておき、会社名や屋号を決める上では色々な考え方があります。

まずひとつは、企業戦略の一部として会社名を考えるという方法です。例えば、事業の内容が一目で分かるような名前を付けて、会社名そのものを広告の一部にしてしまう、というやり方もあるでしょうし、電話帳で最初に載るように「あ」ではじまる名前にしたり、会社の電話番号を覚えてもらう為に、電話番号を社名の中に入れたり、同業他社に横文字の社名が多い場合に、あえて和風の名前を付けて目立たせるなど、色々なやり方があります。

それから、会社名を覚えてもらうということを重視して、一度聞いたら忘れないというような名前を付けるという考え方もあります。起業した時はとにかく目立つ(知ってもらう)ということが大事ですから、一見奇策のようにも思えますが、いい戦略だと思います。

そしてもうひとつは、思い入れのある名前を付けるという方法です。これはオーソドックスなやり方と言えますが、会社名や屋号というのはコロコロ変わるよりも、長く付き合っていけることが理想ですから、自分自身がこれだと納得できる名前を付けるということも、やはり大事なポイントになります。

3、事業内容

会社が営む業務の内容のことを「事業目的」といいます。事業目的も、会社を設立する時に決めなければならないことのひとつで、会社設立後は登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されます。
会社が扱う業務は当然全て登記(登記事項証明書に記載)しておかなければなりませんし、記載されていない業務を行ってはいけません。

ということで、普通に考えれば、はじめからから扱う事業目的を会社設立時に登記しておいて、業務内容が拡大変更した時に、その都度登記し直すということになるのですが、実は「登記事項証明書に記載されているけど、実際にはやっていない」というのはOKですので、会社設立の段階から先々の業務展開を考えておいて、事業目的を多めに(幅広く)登記しておくというのが、費用や手間の点で賢いやり方ということになります。

例えば、はじめはインターネット上での物販をするけど、将来的には他社のHPの作成や、ショッピングモールの運営、ネット販売についてのコンサルティングをしたい、というような見通しがある場合は、はじめからそれら全てを登記しておけば何度も変更しなくて済みます。

ということで、出来るだけ先を見越して事業目的を決めた方がいいですよと、私はいつも言うのですが、だからと言って全くやりそうもなく、しかも自社の他の業務と全く関連性のないものを色々入れてしまうと、取引先などが登記事項証明書を見たときに、何の会社なのかわかりにくくなりますし、怪しげになりますので、何でもかんでもというのはお勧めできません。

ちなみに、会社の事業の内容はもちろん自由ですが、違法なものや内容が不明瞭な事業目的は登記できませんので、ご注意ください。

4、本店所在地

会社を設立する時には、本店の所在地(お店ではなく本社の場所のことです)を決めなければならないのですが、これをどこにするかということも慎重に考えたいところです。

本店所在地には特に条件はありませんので、自宅でもかまいませんし、他の会社との共用でもかまいませんが、会社設立後は登記事項証明書(登記簿謄本)に記載される事項ですので、引越しなどで場所が変わった場合には登記をし直さなければならないということになります。

そこで、例えば仕事用に一応事務所を借りているが、会社設立後におそらく何回か移転するだろうというような場合に、あえて社長の自宅を本店にしておくというケースもありますが、自宅を本店にする場合に気を付けたいのは、まず本店所在地は登記事項証明書に記載されるので、自宅の住所が公になってしまうということと、代表取締役については、住所と氏名が登記事項証明書に記載される為、本店の所在地と代表取締役の住所を見比べれば、自宅を本店にしていることは一目瞭然であるという点です。

様々な事情によりこのあたりが問題になる場合は、最初から事務所を構える必要があるでしょう。

尚、設立手続上は問題ありませんが、現実的な問題として、自宅が賃貸である場合には、住居以外の目的に使用してはいけない、という契約になっている場合が多いので、大家さんに内緒で勝手に自宅を本店にしてしまうと、後でバレた時に大変なことになってしまいますので、ご注意ください。

本店所在地を変更する登記には、当然のことながら費用が掛かりますので、できることなら変更せずに済むようにしたいものです。

5、役員(取締役)

株式会社の役員の任期は、非公開会社(株主が株式を譲渡する際に会社の承諾を必要とする旨の定めをしている会社)の場合は最長で10年とすることが出来るようになりました。

以前は株式会社の取締役の任期は2年でした。2年ごとに任期切れになりますので、同じ人がずっと取締役をする場合でも、2年ごとに登記などの手続きが必要でしたので、任期が最長10年になったことは、費用や手間の削減につながるという意味ではいいニュースということになります。

それと同時に、取締役の人数も「3人以上」から「1人でもOK」に変わりましたので、取締役1名(つまり自分だけ)で経営することも可能ですが、その場合には特に迷うこともなく任期を10年としておくことで、費用と手間を従来の5分の1に抑えることが出来ていいと思います。

ただ、取締役2人以上の場合は、もう少しよく考えなければいけません。ただ単に費用と手間が削減されるからという理由だけで深く考えずに任期を10年としてしまうと、これが思わぬデメリットになる場合があるからです。

つまり、設立時は上手くいっていた取締役同士の関係が途中で悪化した場合です。こういう場合、いくら自分が株式を100%持っていたとしても、気に入らないという理由だけで任期中に解任するというのは、現実的にはかなり難しいので、任期切れを待って任期が切れたときに再任しないというやり方で辞めさせる以外に方法はないのですが、こうなると任期が長いことが逆に苦痛になってしまいます。

ですから、役員の人選と任期については、十分に検討する必要があります。

6、出資者(株主)

何人かが集まって会社を設立する場合には、まず誰が資本金を出す(出資する)のかということを決めなければなりませんが、出資者を決める上では、誰がいくら出資するのかということと同時に、2人以上が出資する場合は、各人の出資比率をどうするのかということについても、よく考える必要があります。

株式会社の場合は、出資者というのは株主のことです。株主は通常、会社に利益が出た場合に配当を受け取る等の権利を持つと共に、出資割合に応じて株式会社の最高機関である株主総会での議決権を持ちます。

ですから、例えば起業するにあたって1000万円の資金が必要だが、自己資金は200万円しかないので資本家(スポンサー)に800万円を出資してもらったとすると、出資比率は2:8になり、株主総会での議決権も資本家が80%をもつということになります。株主総会の決議は、通常は過半数で可決となりますから、株主総会は資本家の思い通りということになります。

たとえ自分が社長であっても、株主総会の決定には従わなければなりませんので、資本家との関係が上手くいっている時は問題ありませんが、意見の相違等で関係が悪化した場合には自分で作って自分が経営している会社でも、重要事項については一切自分の思い通りに出来ないということになりかねません。それどころか最悪の場合は、社長を解任されて会社から追われるという可能性だってあります。

そういう意味では、設立時は自分の出資比率は50%以上にしておくことが望ましいのですが、それが難しい場合は、出資者は可能な限り慎重に選ぶ必要があります。

7、決算日

会社を設立する際に決める事のひとつに、決算日(決算月)があります。これは会社の事業年度を何月から何月までにするか、という事を決めるもので、例えば決算日を3月末日とすれば、会社の1年は4月1日に始まり、3月31日に終わるという事になります。

決算日は自由に決められますので、この日がいいという日があれば、その日に決めればいいのですが、特にそのようなこだわりがない場合は、次の事を考慮して決定するといいと思います。

まず1点目は、資金繰りです。法人税等の税金の納付期限は決算日の2ヶ月後ですので、3月末決算であれば、納付期限は5月末となります。従って5月に、税金として納める分の現金が必要という事になります。

それぞれの会社や業種によって、現金に余裕のある時期とそうでない時期があると思いますが、現金の少ない時期に納付期限が来ると資金繰りが苦しくなりますので、これは避けた方がいいと思います。

次に、2点目は消費税です。資本金1000万円以下で設立した会社は、設立から2年(2期)は、消費税の納付義務が免除となります。そこで、これを活かす為に、最初の2期を最大限長くするというのもひとつの考え方です。

例えば、4月1日設立で、決算を4月30日にすると、1期目が1ヶ月で終わってしまうので、2期といっても1年1ヶ月しかないという事になりますが、決算を3月31日にすれば、2期が丸2年となり、最大になります。

また、棚卸しが必要な業種であれば、在庫が少ない時期を決算日にした方が、作業もスムーズになり、決算書の内容もよくなります。

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注:設立時の資本金が合同会社で900万円以上、株式会社で2,200万円以上の場合は、印紙代が表示価格に加算されます。いくら加算されるかについてはお問合わせ下さい。
※中井事務所では、手続きの中の登記に関する部分については、法に基づき司法書士事務所に外注しています。尚、司法書士報酬は上記の「料金」の中に含まれています。

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